妊娠率は年齢で大きく変わる

 

妊娠率は年齢によって大きく変わっていくことをご存じでしょうか。最近はテレビなどでも取り上げられたりしているので、ご存知の方も多いと思います。私たちもなんとなく知ってはいたのですが、医学的なきちんとしたデータを見せてもらってびっくりしました。

 

最近では、以前と比べると第一子の出産年齢が上がってきていることや、私たちの周りにも同年代や少し上の年齢の人も妊娠・出産をしていたことから、自分たちも大丈夫だと、あまり気にしていませんでした。

 

一般的に不妊といわれるのは、「1年以内に妊娠に至れない状態」とWHO(世界保健機構)でも定義されていて、結婚後、子供が欲しいと思っている夫婦に1年間で子供ができる確率は、20代前半でおよそ8割程度だそうです。

 

その確率は年齢を重ねるごとに、どんどん下がっていき、特に30代後半からは大幅に下がります。なぜ年齢を重ねると妊娠率が下がるのでしょうか。

 

卵子の数は、年齢とともに減少する

女性の卵子というのは、産まれる前からその数が決まっています。お母さんのお腹にいる時点で卵巣内に卵子の元がすべて存在していて、その数は決して増えることはなく、年齢を重ねるごとに減る一方となります。

 

産まれたときには卵子は約200万個あるのですが、初潮を迎えるころには30万個にまで、減少すると言われており、そのうち妊娠の可能性がある排卵する卵子は500個程度です。その卵子の数は30代後半から急速に減少することが、妊娠率を下げる一因となっています。

 

ただし、卵子の数にはもちろん個人差があり、20代後半で急激に少なくなってしまう人もいます。全体でみると、それほど数は多くないのですが、そういった人は30代になる前でも妊娠率はかなり低くなります。

 

ちなみに、子宮内膜症などの病気にかかっている場合にも、卵巣機能が低下する年齢が早くなる傾向にあるので、妊娠を望むのであれば、少しでも早めの対応が必要となります。

 

卵子の質の低下

また、問題は加齢に伴う卵子の数の減少だけではありません。残っている卵子も本人と一緒に年をとっていくので、年齢を重ねるごとに、卵子もどんどん老化していき、卵子自体の質が悪くなってしまいます。

 

(卵子の質の低下については、体内の細胞内でエネルギーを作り出すミトコンドリアの機能が衰えることが、原因になるという研究結果が出ています。メカニズム自体は不明なのですが、加齢で卵子の質が低下することは明らかです。)

 

卵子の質が悪いと、排卵して受精のタイミングが合っていたとしても、ちゃんと受精できる可能性が低くなります。例え、受精できたとしても、受精卵がうまく分割できなかったり、分割しても受精卵が子宮にきちんと着床できなかったり、ということが起こります。

 

そういったことから、年齢を重ねて卵子が残っていたとしても、その質が悪いために妊娠できる可能性が低くなるのです。

 

妊娠率は年齢で大きく変わる

妊娠中、妊娠後のリスク

また、運よく妊娠できたとしても、妊娠時の年齢が高いほど、流産やダウン症などの染色体異常となる確率、妊娠高血圧症候群となる確率も上がっていきます。

 

一般的に流産は15%程度の確率で起こると言われていますが、40代ともなるとその確率は約50%にまで上がるとの説もあります。染色体異常についても、例えばダウン症のリスクでいえば、25歳では1/1250程度だったものが、40歳では1/100程度にまで上がります。

 

妊娠高血圧症候群に関しては、どうしてなるのか、はっきりとした原因は分かっていないのですが、因子の一つとして考えられているのが、母体の年齢です。高血圧によって、合併症が起きることで、お母さんや赤ちゃんの命を危険にさらしてしまう可能性もあります。

 

このように、加齢は妊娠率の低下だけでなく、妊娠中、妊娠後のリスクにも大きく影響します。日本生殖医学会も、妊娠・分娩に最適な年齢は、20代、遅くとも35歳までと提言しており、妊孕能(妊娠しやすさ)は若い人ほど高いと言っています。

 

男性の年齢と不妊症の関連性

一方で、年齢を重ねることで妊娠しにくくなるのは、女性の卵子だけに限ったことではありません。男性の精子も35歳後半ぐらいから徐々に数が減っていきます。卵子とは違って毎日作られている精子ですが、それでもやはり、年齢を重ねると、その質は低下していきます。

 

精子の質の低下とは、精子の運動率が落ちることや、奇形等のない正常な形態の精子が減ることを指します。このように精子の質が落ちることで、妊娠できる確率が下がるのです。

 

また、男性の年齢が高齢だと、妊娠できたあとでも、自然流産になる確率が増えるとのデータがあるので、妊娠を考える際には男性の年齢も考慮すべきであると言えます。

 

まとめ

以前は、妊娠を考えていても妊娠できなかった期間が2年であれば、一般的に不妊と言われていましたが、前述したように、現在は1年と短縮されており、さらに米国などでは女性が35歳以上の場合は6か月で検査を開始することが認められるとされています。

 

妊娠率は、個人差があるので年齢だけでは、一概には言えませんが、現在のご自身の年齢と重ねて、客観的に自分が今どの段階にいるのかを認識することが、妊活への第一歩になるのではないでしょうか。